遺言書の作成

遺言は、なぜ必要か

 亡くなろうとするその瞬間、誰もが言葉を発することができるとは限りません。

  また、そのような状態で言葉を発してもそれが本当に自らの意思なのかも周囲は判断できず、その内容が正確に伝わることはありません。

 テレビドラマなどで遺産をめぐる骨肉の争いがテーマとなっているものを見たことがあると思いますが、財産の額が数億円・数十億円でなくとも、いざ目の前に具体的な金銭が想像できる状況になると人は性格が変わることがあります。それまで仲の良かった兄弟姉妹が争う姿を想像すると気が滅入る方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 遺言書は、そのような事態をできる限り避けるための「家族へ残す最後のメッセージ」となります。

 このような観点から、誰しもが迎えるその最後の時が、ご本人だけでなくご家族にとっても円満なものとなるよう、前もっての遺言書の作成をお手伝いしております。なお、ご本人、ご家族の間で意見が異なるような場合は、紛争性があるものとして弊所ではお受けすることができません。必要に応じて提携する弁護士等をご紹介いたします。

特に遺言書があった方がよい場合

 私達が遺言・相続関係の業務を行う中で、特に遺言書を残しておいたほうがよいといわれるパターンがありますので、その一部をご紹介します。

  • 熟年で再婚をした場合(再婚相手と前婚での子との争い)
  • お1人暮らしの場合(兄弟姉妹のほか甥姪の争い)
  • 子が先に死亡している場合(孫を巻き込んだ争い)
  • 内緒の子どもがいる場合(妻と、その内緒の子どもとの争い)
  • 相続人以外に財産を残す場合(相続人とそれ以外の者との争い)
  • 配偶者・子・兄弟姉妹などに行方不明者がいる場合

遺言書の種類と特徴

 遺言にはいくつかの種類があり、それぞれ一長一短あります。

(1) 自筆証書遺言

 自筆証書遺言は、遺言をするご自身で書いて作成するもので、基本的に費用がかからないというメリットがあります。一方、紛失、偽造、隠匿などの危険性が指摘されています。これについては、令和2年7月10日の改正法施行によって、法務局での自筆証書遺言の保管が可能となりました。これにより、自筆証書のその他のデメリットの一つとされていた「裁判所による検認の必要性」を回避することができることとなりました。依然として、一部分を除き自筆が必要であることからその面倒が考えられますが、この点も現在法改正が検討されていますので、今後、自筆証書遺言の利用が増えるのではないかと考えています。

(2) 公正証書遺言

 公正証書遺言は、公証人と証人2名以上の立会いのもの、公証役場で作成されるものです。公証人による原案確認と、公証人・証人も署名・押印するなど手続がしっかりしており、遺言内容が実現される可能性が高いものとされています。一方、公正証書遺言のデメリットは、費用がかかることです。公証人手数料は、相続財産となるであろう価額によりますが、一例として1000万円を超え3000万円以下の場合は2万3千円となります。また、証人2人を必要としますのでその分の日当が必要となります。

 このように費用面で劣る公正証書遺言ですが、やはりその信頼性が高いことから、残される資産が多い場合は、こちらの利用が考えられます。

 なお、自筆証書遺言・公正証書遺言のほか秘密証書遺言という方式もありますが、利用実態があまりないのでご紹介を割愛いたします。

弊所へのご相談

 私は、実父を私が30代半ばのときに亡くしました。亡くなった本人にとっても家族にとっても突然のことで、遺言書はありませんでした。遺族は母と3人兄弟でしたが、兄弟とも30代前半から半ばで大きな負債もなく、母の今後のことをみなで考える余裕があったため、遺言書に代わる遺産分割協議書の作成も滞りなく終えることができました。

 しかし、兄弟のうち誰かに多額の負債があったとしたら、このような円満な解決はできなかったかもしれません。このような経験を踏まえ、弊所では前もっての遺言書作成についてご相談をお受けしております。

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熊本県宇土市 あおき行政書士事務所

代表行政書士 青木崇史