親などが亡くなった際、不動産があれば相続登記をし、預貯金などがあれば、残された親族(相続人)で分け合うことが一般的ですが、この分け合うための手続は、専門的な知識が必要となる場面も少なくありません。
そのため、私たち専門家がお手伝いすることもあります。
例えば、「土地は司法書士に依頼して、預貯金解約などは自分たちでしよう」というパターンもあります。
このような場合、手続には「相続が発生した(亡くなった)ことを証明する書類」が必要となります。
この証明書類は、戸籍謄本等となりますが、相続人の数によっては膨大な量(束です)となりますし、手続のたびに取得するとなると大変な労力となります。
また、複数の手続で同じ書類を必要とすることもあり(なかには還付請求ができるものもありますが)、取得・準備のための労力が大変なものとなります。
そこで、この不便さ・大変さを解消するための制度が、「法定相続情報証明制度」であり、これにより登記官が作成してくれるのが「法定相続情報一覧図」となります。
これは、相続が発生した場合、必要な戸籍謄本等を法務局(登記官)に提出し、作成の申出をすることによります。
法務局自体での手数料は、作成・発行とも無料です。
(ただし、専門家に手続を依頼する場合は報酬費用が発生します。)
一度作成しておけば、相続登記の手続のほか、金融機関、税・年金等の手続にもおよそ利用が可能です(それぞれの機関で利用の可否が異なりますので、具体的には各機関に問合せが必要です)。
また、亡くなって数年後に財産が発見されたような場合に手続が必要となったときも、証明をしてもらうことができます。
2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化され、相続登記が不可避の状況となっています。相続に関する負担を少しでも減らすため、制度の概要だけでも把握されておくとよいのではと思うところです。