登記申請を依頼できるのは司法書士、弁護士、土地家屋調査士だけです

不動産登記には、権利に関する登記(所有権や抵当権などの担保物権ほか)と、表示に関する登記(土地や建物の物理的な状況に関する登記)があります。

権利に関する登記は、「司法書士」と「弁護士」のみが報酬を得て行う(請け負う)ことができ、表示に関する登記は、土地家屋調査士のみが請け負うことができます。

司法書士、弁護士、土地家屋調査士といった国家資格を挙げましたが、これら以外の国家資格(行政書士、税理士など)は、業として登記申請を行うことはできません。ところが、一部の士業において、実質的な報酬を得て、登記書類の作成を行っているところがあるようです。

また、最近注意をすべきものとして、相続●●士といった民間資格があります。このような民間資格は、司法書士などの国家資格にくらべ試験制度や試験の内容などのレベルが高くなく、決して各種手続や相談を報酬を得て請け負えるようなものでではありません(ある民間資格は、試験の際、テキストの持込が認められているとの話も聞きます。)。相続●●士のような民間資格は、あくまで自己啓発の範囲のものであり、法的に稼ぐことを認められた資格ではありません。自己啓発に取り組む意識の高い方が取得していることから、ある意味、相続●●士の資格を取得した方も被害者といえるかもしれません。

無資格者が起こす事例として、次のようなものがあるようです。

「会社設立の定款業務(●●万円)(こっそり登記申請書類無料サービス」

この事例は、いっけん無料サービスのため問題がないように思えますが、実質的には定款作成分の報酬に登記申請分が含まれていると思われます(無料なはずがありませんよね。)。

なお、他士業に定款作成だけを依頼し、登記申請を司法書士に頼めば問題ないように思えますが、定款作成のみを業務としている他士業には、司法書士や弁護士に比べ、定款作成報酬がかなりの高額(司法書士であれば登記申請まで全てできるような額)となっているものが見受けられます。

また、さらに悪質なものとして、何ら資格を有しない者や会社が、士業から名義借りし、登記申請や行政手続を請け負っているという事例もあるようです。資格者はご存じのとおり、それぞれ必要な資格試験について勉強し、それに合格したものです。必要な試験に合格せず、何ら必要な知識・実力を担保されない無資格者による登記申請や行政手続の請負は、消費者被害を生み出すものであり、絶対に防がなければなりません。「●●相談センター」といった一見どのような資格に関する者・会社が運営しているかわからないものは十分ご注意いただき、登記などのご相談は、司法書士、弁護士、土地家屋調査士に、直接ご相談いただくことが被害防止には重要です。

上記のような問題(消費者被害)を防ぐため、司法書士、弁護士、土地家屋調査士は、無資格者による申請などを調査しています。上記のような、お話を見聞きされましたら、ぜひ各司法書士会、弁護士会、土地家屋調査士会などへご一報ください。